謙さん、ギザかこよす


このところすっかり昭和づいてしまいました。
この映画もおもろかった。
3時間以上の大作ですけど、長さを感じませんでした。
組合運動と弾圧、男の矜持と家族など、
自らの体験とオーバーラップするところが多く、
渡辺謙演じる主人公には大いに感情移入できました。
で、この主人公には実在のモデルがいるということで、
えらく感心してしまったんですけど、
調べてみたら結構美化されているようですね。
がっくりというかなんかホッとしました。
観て感動しながら、あまりの主人公の完璧ぶりに、
自分が苦しくなるんですよね。
この小説、週刊誌に連載されるときも、映画化されるときも、
日本航空があからさまに不快感を示していました。
公開当時は、なんてケツの穴の小さい会社だ!
と思っていましたが、
例えば一番のワルの日航(劇中では国航)社員が架空人物だったり、
重要なポイントにフィクションが仕組まれているんですよね。
もっとも、原作者も映画会社も、
ノンフィクションだとは言っていないわけなんですけども。
大勢の国民がどこまでが事実か分からないまま観たことを考えると、
日本航空にはちょっとだけ同情しますね、この点に関してだけは。
そういう面でこの映画がフェアなのかどうかは置いておいて、
フィクション小説の映画化として観れば、
非のうちどころのない良作なんだと思います。
大人の男が感動できて、自らの生き方が問われる映画ですね。